Web情報アーキテクチャ 第17章 情報アーキテクチャの立証
情報アーキテクチャを売り込む
ほとんどの人は「情報アーキテクチャ」という用語を聞いたことがなく、その価値や必要性が理解されないことが多いので、クライアント(または社内メンバー)に売り込む必要がある。
情報アーキテクチャのプロモーションの最大の問題点は、設計と開発プロセスが手遅れになるまでプロモーションする機会が得られないこと。
そのためにはしっかりと売り込む準備をして、情報アーキテクチャの価値を立証しなくてはならない。
数字を出す
ROI(投資対効果)を見積もる。
ただし、情報アーキテクチャでは本当のROIは計測不可能である。その理由は下記の3つ。
情報アーキテクチャ全体による恩恵は、量的に換算できない
個別に見て価値とROIを計れるものもある。
- 広く浅い階層と深く狭い階層のどちらでよりうまくユーザーがナビゲートできるか
- 検索結果の表示を変えることで、ユーザーの反動がどう変化するか
など。
ただし、情報アーキテクチャはそうした数多くの要素が集まって成り立っているので、ある要素のひとつだけを取り出して測定することが正しいとは言えない。なぜなら、ある要素のパフォーマンスは他の要素からも影響を受けているものだから。
情報アーキテクチャ要素のパフォーマンスを測定するのが役に立つのは、要素の測定とアーキテクチャ全体の測定とを混同しない場合のみ。
情報アーキテクチャの要素では、利点を量に換算できないものが多い
例えば検索パフォーマンスの測定のように、終点がないものは、成功したかどうかを確認することは不可能なので、量を測ることも不可能である。
また、多くのユーザーはサイトで自分が必要としているものを「わかっていない」ことがあることを考慮する。「わかってもらう」ためのコストは測定不可能。
ストーリーテリング
情報アーキテクチャの経験がない場合、「ストーリー」を話すのが有効である。話をすると、似た境遇にある仲間に感情移入し、情報アーキテクチャがその状況を如何に改善できるか理解しやすくなる。
効果的なストーリーは、聞き手に状況と役割に対して一体感をもたらす。
その他の立証テクニック
どの方法を選択するかは様々な要素で変わってくる。
- ユーザー感受性「ブートキャンプ」セッション
- サイト評価
- 戦略セッション
- 競合分析
- 比較分析
- ツール営業への同行
- アグレッシブに、迅速に
情報アーキテクチャのチェックリスト
情報アーキテクチャを立証するためのチェックリスト。
- 情報を見つけるコストの削減
- 間違った情報を見つけてしまうコストの削減
- 情報をまったく見つけられないコストの削減
- 競合的なメリットの提供
- 製品認知度の増強
- 販売量の増加
- サイトを使う上でのより楽しいエクスペリエンスの提供
- ブランドロイヤリティの向上
- 文書への依存の現象
- メンテナンスコストの削減
- トレーニングコストの削減
- スタッフ転職の抑制
- 組織の動乱抑制
- 組織の政治活動
- 知識の共有促進
- 二度手間の削減
- ビジネス戦略の堅実化
最後の注意
情報アーキテクチャは抽象的で形がなく、新しくて状況に応じて独自のソリューションを必要とするものであり、立証するのは非常に困難であることを忘れないようにする。