読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

パンプキンスパイスラテ

IT系のことが多めの日記帳です

「ベンダーに頼むより内製すれば格安で済むよ」について一言

見積もり2億円のIP電話を820万円で構築した秋田県大館市から学べること

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20090209/324420/

最近、ちょくちょく見かけるこういう記事。
「ベンダーに数億の見積もりを出されたけど、職員が作ったら同じことが超格安でできたよ!ベンダーぼったくり過ぎ!みんなオープンソースを使って自分たちで作ろうぜ!」
的な。
ブコメを見ると、
「かっこいい」「ベンダーひどい」「SIerおわた\(^o^)/」という肯定的意見から、
「人件費が入ってない」「保守費は?」「トラぶったらどうするの?」などの否定的意見も。
個人的には、この人自体はカッコイイと思うんだけど、それで「お手製ばんざい!」「ベンダーがぼったくりだ」とかいうのは違うと思う。
2億円かかるにはそれなりの理由があるから。
正直こういったインフラ系は詳しくなんだけど、お手製にすることで切り捨ててることはたくさんあると思う。

  • 保守
  • 運用
  • 安全
  • 快適さ

保守

記事を読むと、

 まずIP-PBXは2重化しUPS(無停電電源装置)も設置。さらに災害時に備え発電機を設置し,電話機の電源をPoEで送るようにしている。

 さらに従来のアナログ回線も40回線残してある。NTTの転送サービスを利用してFAX回線をアナログ回線に切り替えることで,災害時にも通話ができるようにした。「いざとなれば携帯電話を使用することも選択肢の一つ」(中村氏)。問題があれば前の状態に戻ればいい,というのが一つの答えだ

と障害時の対応策も考えてはあるみたい。でも何かどうなんだコレ。アナログ回線にすればダイヤルインは使えないし、いざとなったら携帯電話って。単純に停電とかの場合は大丈夫(ていうかそれしか想定してない?)だけど、ソフトウェア障害とかネットワーク障害の時は、担当者1人で対応しなきゃいけないのは大変そう。

運用

これ担当者がいなくなったら終わりじゃん!

 Asteriskの場合,普段は特に運用のための手間はないという。新しい電話機を追加する際には中村氏が設定を行っているが,電話機の追加はそれほど頻繁には発生しない。

 仮に中村氏が異動しても後任に引き継げるよう,操作マニュアルは整備してある。ただし地元にAsteriskを扱える企業が少ないため,今後,大館市職業訓練短大と提携し技術者育成を行っていく方針だ。

操作マニュアルって。サーバーとか配線とかもマニュアル化してるのか?絶対なにかあったら、この担当者が呼び出されるよね。運用って「新しい電話機を追加する」ってだけじゃないと思うけどなぁ。

安全

素人が9kmものケーブルを敷設したらしいんだけど、大丈夫なのか?こういうのって単純に「作業量=値段」じゃないと思うんだけど。

快適さ

例えば負荷分散とか音質とか。


まぁこのIP電話の件については、それなりに良い例だとは思うんだけど、気になったのは2ページ以降。

一般ユーザー向けのものを価格だけで見て良いのか

 熊本県八代市では市の職員である小林隆生氏が地域ソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)「ごろっとやっちろ」を一人で開発した。

http://www.gorotto.com/

う、うん。頑張ったのは認める。だけどそれ使い勝手はいいの?SNSオープンソースを使うのはいいんだけど、導入できるだけじゃダメなんだけどなぁ。デザインとかユーザビリティとかプロと素人じゃ全然違うから。

またFlashベースの地図情報システムも開発している。地図情報システムは外注の見積もりをとったところ数億円だったという。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20050830/220314/?ST=oss

http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/gis/

う、うん。頑張ったのは認める。けどこれどうよ。

こういうデザインとかユーザビリティが必要なものって、何度もいうけど導入できるだけじゃダメなんだけどなぁ。ただ言われるままに数億で作っちゃうのも問題だけど、安いからって安易な方法を取るのは、特に公共機関はダメな気がする。

本日一番つっこみたいところ

記事3ページ目。でました。

鹿児島県 屋久島町では「ベンダーに数千万円の費用がかかると言われたホームページのシステム化(CMS導入)を,島内の中学校教諭の配偶者の方に依頼したら100万円で実現できた」(屋久島町 副町長 日高典孝氏)という。

島内の中学校教諭の配偶者
ようするにフリーでやってるWeb屋さんだよね。数千万かかるところをたった百万にする意味ってわかってやってんのかな。
ええぃ、これも引用しちゃうよ。

 新しいWebサイトでは,町の職員が,島に6カ所ある分散した庁舎からコンテンツを管理できるようになった。町長も自らブログを書いている。屋久島町副町長日高氏は「今まで専門的な職員がいてHPの更新に携わってきたが,ITに詳しくない職員でも更新できるようにならないかと考えていた。数千万円の費用がかかると言われあきらめていたが,島内の中学校教諭の配偶者の女性の方が知識があるということでお願いしたら非常に安価に実現できた。屋久島が世界遺産に登録されて以来,専門知識を持つ方のIターン(都会からの移住)が増えている」と語る。

そりゃCMSなんだから「町の職員が,島に6カ所ある分散した庁舎からコンテンツを管理できるようになった」は当たりまえだ。「数千万円の費用がかかると言われあきらめていた」んだったら、安易に「島内の中学校教諭の配偶者の女性の方が知識があるということでお願いしたら非常に安価に実現できた」じゃなくて、その見積もりがこちらの目的に対して妥当なのかどうか、その「島内の中学校教諭の配偶者の女性」にコンサルとして参加してもらって、ベンダーに頼めばよかったのに。。。

百万円の費用の内訳

 費用の内訳は,サーバーのレンタルが約10万円,屋久島の住民が請け負ったNetCommonsのインストールやコンテンツの収集が合わせて約40万円。デザイン料が約10万円,バックアップ・サーバー費用が約40万円。国立情報学研究所 社会共有知研究センターは無料でコンサルティングを行った。

デザイン料が約10万円!!

金かけなさ過ぎ。だからこんなしょぼいページになっちゃうんだよー。一番大事なロゴがアンチエイリアスかかってないし。どこになにがあるかもわかりづらいし、どのページも似たような構図で全然わからん。
しかも英語ページに行ったら、日本語ページに戻れないし。
数千万かけてプロが数名で数ヶ月かかるところを、たった百万でたった1人でたった1ヶ月で作ってしまう怖さ。
それがちょっと知識があれば誰でも出来てしまう怖さ。
そして、それが単純に価格でしか比較されない怖さ。
もっと世間はそういうところにクローズアップして欲しいなぁ。